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広告はいくつかのレベルでブロックできることをご存じでしょうか。まず、ブラウザを使っているときに、ウェブ上の広告だけをブロックするブラウザ拡張機能があります。次に、システム全体で動作する広告ブロッカーがあり、広告がスマホやパソコンに届く前にブロックして端末を守ります。そして、さらに広い範囲をカバーしたいなら、ネットワーク全体で動作する広告ブロッカーを使う方法があります。ネットワーク全体で動作するソリューションは、不要な広告、トラッカー、悪意のあるコンテンツをDNSレベルで遮断・フィルタリングします。この方法は広告をブロックしてプライバシーを高めてくれますが、最大のメリットは対応できるデバイスの幅広さです。ネットワーク全体で動作する広告ブロッカーは、スマホ、パソコン、スマートテレビ、IoT(モノのインターネット)デバイスでも効果を発揮します。

AdGuard HomeとPi-holeは、どちらもネットワーク全体を広告から守ることを目的としたソリューションです。できることは同じでも、仕組みには違いがあります。この記事では、その違いを詳しく見ていきます。
AdGuard HomeとPi-holeとは?
AdGuard Homeとは
AdGuard Homeは、人気の広告ブロッカーAdGuardの開発元が提供する、ネットワーク全体で動作する広告ブロッカーです。DNSサーバーとして動作し、無料のオープンソースソフトウェア(GPL-3.0)として公開されています。シンプルさ、インストールのしやすさ、そしてDNSの暗号化やペアレンタルコントロールといったプライバシー機能を標準で備えていることから、すぐに人気を集めました。必要な設定は少なく、扱いはわかりやすいほうです。
Pi-holeとは
Pi-holeは、Raspberry Piのような軽量なデバイスでも動く、ネットワーク全体で動作する広告ブロッカーを提供するために始まった、コミュニティ主導のオープンソースプロジェクトです。仕組みとしては「DNSシンクホール」で、端末側にソフトウェアをインストールする必要はありません。当初は技術に詳しいユーザーの間で人気がありましたが、カスタマイズ性の高さ、活発なコミュニティ、充実したドキュメントによって利用者を広げてきました。
早わかり比較:AdGuard Home vs Pi-hole
| 項目 | AdGuard Home | Pi-hole |
| インストールのしやすさ | とても簡単 | 普通 |
| ユーザーインターフェイス | モダンで使いやすい | 実用的で情報が詳細 |
| DNSの暗号化 | 標準搭載(DoH、DoT、DNSCrypt) | 外部ツールとの連携で対応 |
| カスタマイズ性 | 普通 | 高い |
| ペアレンタルコントロール | 標準搭載 | カスタムのブロックリストで対応 |
| コミュニティとサポート | 公式サポートが充実 | コミュニティのサポートが非常に充実 |
| 対応ハードウェア | 幅広い環境に対応 | Raspberry Piに最適化 |
| パフォーマンスへの影響 | ごくわずか | ごくわずか |
AdGuard HomeとPi-holeの仕組み
AdGuard HomeとPi-holeは、同じ役割をそれぞれ異なる方法で果たします。家庭のネットワークの門番だと考えるとわかりやすいでしょう。デバイスから送られてくるDNSクエリをチェックします。招待客リストと要注意リストを持った警備員のようなもので、要注意リスト、つまりブロックリストに載っているドメイン名はすべて締め出します。
アプリを開いたりウェブサイトを閲覧したりすると、デバイスはたくさんのものをリクエストします。見たいコンテンツだけでなく、広告やトラッカー、ときにはマルウェアまで含まれます。広告ブロックを行わないDNSサーバーは、広告やトラッカーのドメインについても通常どおり名前解決を行います。AdGuard HomeとPi-holeは、この流れに割って入ります。DNSプロバイダーの役割を担い、デバイスがアクセスしようとするドメインを1つずつ確認するのです。それが広告配信元、トラッカー、怪しいサイトであれば、リクエストを「どこにもない場所」へ送ります。正確には、ある場所へリダイレクトされます。それがDNSシンクホールです。ただし、DNSシンクホールはウェブにおける「虚無」のようなもの。つまり、どこにも届きません。AdGuard HomeもPi-holeも、こうした不要なリクエストをブロックするので、デバイスがそれらのサーバーに接続することはありません。
広告ブロックとプライバシー機能
AdGuard HomeもPi-holeも、基本的には広告ブロッカーです。そのため主な機能は広告ブロックに関するものですが、ほかにも重要なプライバシー機能が用意されています。
AdGuard HomeとPi-holeの広告ブロック性能は?
AdGuard Homeは、広告をかなり効果的にブロックします。標準で搭載され、頻繁に更新される広告ブロック用のフィルタによって、ネットワーク全体を継続的に広告から守ります。よく使われるブロックリストに最初から対応しているので、ユーザーの手間も少なく済みます。
一方、Pi-holeは、コミュニティが作るカスタマイズ可能なブロックリストによって柔軟に使えます。自分の閲覧傾向やニーズに合わせて、保護内容を調整・拡張できます。
どちらのツールにも、デフォルトのブロックリストが用意されています。必要に応じて追加することもできます。広告をどれだけブロックできるかは、使うブロックリスト次第です。
AdGuard HomeとPi-holeはYouTube広告をブロックできる?
答えは「場合による」です。前述のとおり、AdGuard HomeもPi-holeも、広告ブロックの効果は使うブロックリストに左右されます。YouTubeは、動画コンテンツと同じドメインから広告を配信しています。さらに、YouTubeの広告用ドメインはたびたび変わります。そのため、YouTubeの広告を安定してブロックするのはとても難しく、AdGuard HomeもPi-holeも苦戦しています。詳しくはYouTube広告をブロックする方法をご覧ください。
AdGuard HomeとPi-holeはDNSの暗号化に対応している?
はい。AdGuard Homeは、DNS-over-HTTPS(DoH)、DNS-over-TLS(DoT)、DNSCryptといったDNS暗号化プロトコルに標準で対応しています。これにより、ブラウジングをしっかり保護できます。
Pi-holeは、上流(アップストリーム)のDNSを暗号化する機能を標準では備えていませんが、Unboundやcloudflared(Cloudflare)といった外部ツールと連携できます。追加の設定を行うことで、暗号化とプライバシー保護を実現できます。
AdGuard HomeとPi-holeのマルウェア対策は?
AdGuard HomeもPi-holeも、マルウェアやトラッカーをブロックすることで、ネットワークのセキュリティを大きく高めます。どちらも、充実したブロックリストを使って、不要なコンテンツや悪意のあるコンテンツを防ぎます。
インストールと設定
AdGuard HomeもPi-holeも、ターミナルやコマンドプロンプトでの作業を含む、少し手間のかかるセットアップが必要です。ターミナルを使った設定に不安があっても心配はいりません。どちらも詳しいマニュアルで手順を案内しています。ここでは基本だけを紹介します。
AdGuard Homeのインストール
AdGuard Homeのインストールのほうが簡単です。最初の手順が終われば、設定のほとんどは見やすいユーザーインターフェイス上で行えます。
- AdGuard Homeの最新リリースを、GitHubのリポジトリからダウンロードします。
- ダウンロードしたら、簡単なコマンドか実行ファイルを実行します。すると初期設定のウィザードが起動します(初回はポート3000番で待ち受けます)。
- ウィザードの案内に沿って、初期設定を1ステップずつ進めます。
初期設定の段階で、ネットワークの設定を行い、DNSレベルの広告ブロックを有効にできます。ただし、できることはほかにもたくさんあります。詳しい手順はAdGuard Home公式のインストールドキュメント(英語)を参照してください。
Pi-holeのインストール
Pi-holeは、もう少し自分で手を動かす必要があります。コマンドラインやLinux環境に慣れている人なら、すぐになじめるでしょう。多くの人はRaspberry Piにセットアップしますが、ほとんどどんなパソコン、仮想マシン(VM)、Dockerコンテナ、一般的なLinuxサーバーにもインストールできます。なお、Pi-holeは固定IPアドレスで運用する必要があります。インストールにはやや長い手順がありますが、その大部分はコマンドラインのスクリプトを実行することで自動化されます。完全な手順はPi-hole公式ドキュメント(英語)で確認できます。
インストールが終わると、Pi-holeのウェブ管理画面が使えるようになり、設定の変更、ブロックリストの管理、ネットワークトラフィックの監視ができます。
使いやすさとその他の機能
AdGuard Homeは使いやすい?
AdGuard Homeはとても使いやすく、設定の管理やネットワークの監視ができる見やすいウェブ管理画面を備えています。初心者や、シンプルで視覚的にわかりやすい操作を好む人にぴったりです。
Pi-holeは初心者にも使いやすい?
Pi-holeの管理画面はわかりやすいものの、AdGuard Homeより技術的です。得られる情報や設定できる項目が多く、上級者や、ネットワークを深く理解して手動で細かく管理したい人に向いています。
AdGuard HomeとPi-holeにリモートでアクセスする
どちらもリモートアクセスに対応しており、外出先からでもネットワークを管理・監視できます。AdGuard Homeはリモートアクセスを比較的簡単に設定できます。Pi-holeも現在のバージョンはウェブサーバーを内蔵し、管理画面はHTTPS(ポート443)にも対応していますが、外出先から安全にアクセスするには、VPNや安全なトンネル接続などの追加設定を行うのが一般的です。
便利な統計機能
AdGuard HomeとPi-holeには、どちらも統計を表示するダッシュボードがあります。ネットワークの統計、ブロックされたリクエスト、デバイスごとの情報、詳しいログが表示されるので、ネットワークで何が起きているのか、どこに問題がありそうかをすぐに把握できます。
ペアレンタルコントロール
AdGuard Homeにはペアレンタルコントロール機能が標準で搭載されており、管理画面から直接、不適切なコンテンツを簡単にブロックできます(「セーフサーチを強制」にも対応)。Pi-holeには標準のペアレンタルコントロール機能はありませんが、カスタムのブロックリストを使えば同じようなことができます。
ブロックリストの管理と更新
どちらのツールでも、ブロックリストを簡単に管理・更新できます。AdGuard Homeは自動更新とわかりやすいユーザーインターフェイスを備えています。Pi-holeはより柔軟で、手動・自動どちらの更新にも対応し、コミュニティの力で幅広くカスタマイズできます。
AdGuard HomeとPi-holeは併用できる?
技術的には可能です。Pi-holeをプライマリDNSサーバーとして設定し、クエリをAdGuard Homeに転送する(またはその逆にする)ことができます。ただし、この構成は一般的に複雑になるため、上級者向けです。
これらの広告ブロッカーでネットが遅くなる?
基本的には遅くなりません。AdGuard HomeとPi-holeは、不要なコンテンツをブロックすることで、むしろ閲覧速度を改善することが多いです。DNSフィルタリングは軽量で効率がよく、不要なデータ量を減らすことでページの読み込みを速くします。
UIとカスタマイズ性
AdGuard HomeとPi-holeのUIと使い心地は?
AdGuard Homeのウェブ管理画面は、すっきりとシンプルでモダンです。「ダッシュボード」には、クエリ数、ブロックされたリクエスト、クライアントごとの活動といったネットワークの統計がリアルタイムで表示されます。メニューの名前がわかりやすく、「暗号化設定」、ブロックリストの管理(「フィルタ」)、クライアントごとのルール、詳細なログ(「クエリ・ログ」)といった設定項目をすぐに見つけられます。初心者でも扱いやすいツールです。
一方、Pi-holeの管理画面は情報量が多く複雑で、ネットワークのあらゆる情報を見たいユーザー向けです。ダッシュボードには、クエリ・ログ、許可・ブロックされた上位ドメイン、クライアントのデータ、ネットワークのパフォーマンスグラフといった統計がリアルタイムで表示されます。クエリの記録、長期的なデータ分析、クライアントごとのレポートなど、細かな設定と高度な分析機能を備えています。技術に詳しいユーザー向けのツールです。
AdGuard HomeとPi-holeのカスタマイズ性は?
AdGuard HomeもPi-holeも、ニーズに合わせてブロックリストを調整できます。AdGuardのデフォルトリストやEasyList、DNS向けのリストといった定番のものを含め、複数のブロックリストを簡単に追加・管理できます。カスタムのフィルタリングルールやホワイトリスト(AdGuard Homeでは「カスタム・フィルタリングルール」「DNS許可リスト」)を使えば、例外も思いどおりに設定できます。さらにAdGuard Homeでは、DNSの暗号化やペアレンタルコントロールをダッシュボードから直接、簡単に設定できます。
Pi-holeは、自分のやり方で細かく設定できるのが強みです。コミュニティが管理する専門性の高いリストを含め、幅広いブロックリストを設定・管理できます。正規表現を使ったブロックは非常に強力で、ブロックのルールをとことん細かく指定できます。高度なDNS設定も可能で、Unboundやcloudflared(Cloudflare)といった外部ツールと連携すれば、DNSの暗号化をしっかり強化できます。この柔軟性こそが上級者をPi-holeに引きつける理由であり、ネットワークのフィルタリングを細部まで自分で管理できます。
AdGuard HomeとPi-holeは一般的な広告ブロッカーとどう違う?
ブラウザ拡張機能
uBlock OriginやAdblock Plusなどのブラウザ拡張機能は、ウェブブラウザ内の広告をフィルタリングするだけです。ページの要素を調べて、閲覧中に広告を取り除きます。ブラウザ内ではそれで十分に機能しますが、ほかのアプリやネットワーク上のほかのデバイスには効果がありません。拡張機能タイプの広告ブロッカーについて詳しくは、2026年版Chrome向けおすすめ広告ブロッカーをご覧ください。
システム全体で動作する広告ブロッカー
AdGuard for WindowsやAdGuard for Macのような、システム全体で動作する広告ブロッカーは、1台のデバイス上のすべてのアプリで広告をブロックします。デバイスのOSに直接組み込まれて動作します。そのため、守りたいデバイスごとに個別にインストールする必要があります。
ネットワーク全体で動作する広告ブロッカー
AdGuard HomeとPi-holeはDNSレベルで動作します。つまり、ネットワーク上のすべてのデバイスをまとめて保護できます。DNSリクエストを途中で受け止め、広告、トラッカー、悪意のあるコンテンツを配信するドメインそのものをブロックします。これは、広告ブロック機能を持たないことが多いスマートテレビやIoTデバイスで特に役立ちます。DNSレベルでブロックすることで、ネットワーク全体で動作する広告ブロッカーは、さまざまなデバイスに対してずっと効率よく効果を発揮できます。
対応ハードウェア
対応ハードウェアの幅広さは、AdGuard Homeが特に優れている点です。公式にはWindows、macOS、Linux、FreeBSD、OpenBSDに対応し、ARMやMIPSなど多くのCPUアーキテクチャ向けのビルドが用意されています。公式のDockerイメージもあるため、仮想環境やNASでも使いやすくなっています。さらに、OpenWRT、Asus Merlin、DD-WRTといったファームウェアを搭載したルーターとも組み合わせられます。ネットワークの出入り口であるルーター上で動かせば、高いパフォーマンスが得られます。
一方、Pi-holeは、ハードウェアが少し…控えめな環境を想定して作られています。そこで活躍するのがRaspberry Piのようなデバイスです。リソースをできるだけ効率よく使う必要がある、こうした環境に合わせて最適化されています。ただしRaspberry Pi専用ではなく、公式にはDebian、Ubuntu、Fedora、Raspberry Pi OSなどのLinuxに対応しており、Linuxサーバー、仮想マシン、Dockerコンテナ、古いパソコンでも問題なく動作します。また、AdGuard Homeと同じように、OpenWRTやDD-WRTのファームウェアを搭載したルーターとも組み合わせられます。
サポート
サポートの面では、AdGuard Homeは安心感があります。実績のあるAdGuard社が支えるオープンソースプロジェクトなので、継続的な公式サポート、詳しいドキュメント、定期的な機能アップデート、ユーザーのフィードバックへの迅速な対応が期待できます。必要なときには、企業によるサポートを受けられます。さらに、GitHubやフォーラム、オンラインでの議論に参加する活発なコミュニティもあります。こうしたコミュニティのサポートが、使い勝手と機能をさらに高めています。
これに対してPi-holeは、コミュニティ主導のプロジェクトで、ボランティアによって運営され、寄付で支えられています。そしてそのコミュニティは非常に活発です。熱心なユーザーたちが開発を引っ張っており、GitHub、フォーラム、Reddit、ユーザーが作成したドキュメントで彼らに出会えます。新しいブロックリスト、プラグイン、スクリプト、カスタマイズガイドを作っているのも彼らです。そのためPi-holeは常に改良と進化を続けています。コミュニティのおかげで、素早い解決策や丁寧なサポートを得られます。Pi-holeが技術好きやDIY派のユーザーに人気なのはこのためです。
結論
AdGuard HomeもPi-holeも、ネットワーク全体で動作する優れた無料の広告ブロッカーで、それぞれ異なるユーザーに向けた強みがあります。シンプルで使いやすいものを求めるならAdGuard Home、より細かい管理やカスタマイズを求めるならPi-holeがおすすめです。セットアップは少し面倒ですが、プライバシーの向上と広告の削減という効果を考えれば、どちらを選んでも導入する価値は十分にあります。
よくある質問
AdGuard HomeやPi-holeはスマホでも使えますか?
はい。どちらも、スマホでDNSを手動で設定するか、ルーターでネットワーク全体に設定することで、スマホでも使えます。
AdGuard HomeやPi-holeは動画配信サービスの動作に影響しますか?
通常は影響しません。ただし、一部の動画配信サービスでは、正常に動作させるために例外設定や特定のドメインのホワイトリスト登録が必要になる場合があります。
AdGuard HomeやPi-holeはフィッシングサイトに効果がありますか?
どちらも、ブロックリストに含まれる既知のフィッシングドメインをブロックできるので、フィッシング攻撃に対する安全性が高まります。
AdGuard HomeやPi-holeはウイルス対策ソフトの代わりになりますか?
いいえ。悪意のあるドメインをブロックすることでウイルス対策ソフトを補完できますが、本格的なウイルス対策ソフトの代わりにはなりません。
AdGuard HomeやPi-holeでブロックリストの自動更新をスケジュールできますか?
はい。AdGuard HomeもPi-holeも、ブロックリストの更新をスケジュール設定できるので、手動で更新する必要はありません。